サウナがストレスに対し、本当に効果的なのか検証した研究を簡単に解説

サウナの論文
■はじめに
ストレスの高い職業 ( 軍人、消防士、警察官など) は、動脈硬化 、肥満  、心臓病 などの心臓代謝性疾患 (CMD) を発症するリスクが高いと報告されています。
さらに喫煙、強いストレス、激しい身体運動、心理的ストレス、偏った食事、不規則な睡眠は、発症するリスクをさらに高める可能性があります。
最近の研究ですが、火災を鎮圧しながら犠牲者の捜索と救助を行う火災シミュレーション訓練を受けた消防士では、血栓の生成が73%増加し、血小板と単球の結合が7%増加し、被験者の生理学的値が正常に戻った後に血管機能が損なわれたことが実証されました。
強いストレスに晒されるとダメージを受けるだけでなく、その後回復したとしても元通りにならない事があるということです。その改善方法としてサウナが効果的なのでは?というのが今回紹介する研究です。
ストレス社会を生きる皆様の参考になる研究ですので詳しく解説しています。
■ストレスは2種類ある
ストレスは生物学的システムに負担をかける外部のイベントまたは状態として考えられ、急性期慢性期に分けられます。
急性期では、活性酸素種への急性曝露により細胞の適応力を向上させ、より強固な細胞内抗酸化システムが得られるため、急性ストレスは一般的に有益とされています。ちなみにサウナは急性ストレスに該当します。
慢性期では、内分泌系を刺激し視床下部の下垂体副腎軸と交感副腎軸の過剰な活性化を引き起こし、酸化還元系の調節不全やホルモンの過剰分泌を促します。つまり精神的なダメージを受ける、ことになります。
つまり急性期は身体的ストレス、慢性期は精神的ストレスとなります。
■サウナに入って大丈夫?
結論として、サウナに入ることは推奨されます。
ストレスに晒されることは、心血管系疾患を発症するリスクが高くなります。サウナも急性ストレスに該当するのであれば、余計にリスクが高まりそうですが・・・
週に 1 ~ 2 回のサウナは、心臓突然死、冠状動脈性心疾患、および全体的な死亡率を大幅に減少させることがわかっています。また週に 3 ~ 7 回のサウナは、心血管疾患の発症、脳卒中のリスク、高血圧のリスクが最大 50% 減少することが実証されています。

そしてこの研究では、「サウナは心臓代謝性疾患(CMD)危険因子を軽減または軽減するために実践できる実用的なツールである」と位置付けられています。ただ、健康的な食事や運動の代替にはならないとされています。

■サウナはデメリットは?
もちろんあります。
妊娠中の女性では、熱への曝露が二分脊椎などの胎児の先天異常を誘発することがわかっています。関連性としてはかなり低いものの、避けることが推奨されています。
また男性においては、定期的なサウナ、熱にさらされると精子の運動性と精子数が大幅に減少することがわかっています 。ただし、サウナを中止すると元に戻ることも分かっています。
■結論
サウナは健康上利点が多く存在し、特に心血管系疾患のリスクを減少させます。
そして熱ストレスによる細胞の修復機能増加は、高ストレス社会に生きる私たちにとって効果を発揮するはずです。
サウナに入ることでストレスが解消される、というよりはストレスによって引き起こされる心血管系疾患リスクを減少させるのにサウナが効果的!というのがこの研究の結論です。
もちろん人によってはサウナがストレス解消になることもあると思います。
人生100年時代、長寿の秘訣はサウナにあり!かもしれませんね。
■注意■
サウナの利用がすべての人にとって安全であるとは限りません。
健康状態や持病によってはリスクが伴う場合があります。危険や不安を感じた方は医師に相談することをお勧めします。
”引用論文”
The Cardiometabolic Health Benefits of Sauna Exposure in Individuals with High-Stress Occupations. A Mechanistic Review
Kaemmer N Henderson , Lauren G Killen , Eric K O’Neal , Hunter S Waldman「 高ストレスの職業に就いている人におけるサウナ曝露の心臓代謝の健康上の利点。メカニズムのレビュー」

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