いつお風呂に入っていますか?
多くの人は夜に入っているのではないでしょうか。
2011年に東京ガス株式会社都市研究所が実施した社内調査によると、朝にシャワーを浴びる人が増えていることが報告されています。特に夏季は増える傾向にあります。
朝にシャワーを浴びる目的は「汗を流す」だと思いますが、入り方によっては一日パフォーマンスを向上を示唆する研究があります。
この研究では朝のシャワーが身体に与える影響は、夜の入浴とは異なると仮説を立てました。
研究に参加した方を、シャワー・ミストサウナ・入浴なしの3つの条件下において身体への影響と日中の作業効率について調査をしました。
朝からミストサウナ?と疑問を持たれる方もいると思うので、ミストサウナについて少し整理します。
ミストサウナとは?
サウナの種類3つ(ドライ・ミスト・スチーム)
ミストサウナはお湯を霧状(ミスト)にし、温度と湿度を上昇させるサウナのことを指します。
普通のドライサウナは温度が約80~100℃で湿度は10%ほどなのに対し、ミストサウナは温度が約40℃で湿度は約90~100%です。
また、お湯を沸騰させて蒸気で満たすスチームサウナも存在し、ミストサウナと比べると温度が10℃前後高くなります。
ミストサウナのメリット
まず、湿度が高く保たれているので肌に優しく美肌効果が期待できます。
温度が低くいため身体にかかる負担は少ないですが、発汗は普通の入浴にくらべ2倍とされています。
そして、シャワーに比べ短時間で温まり、入浴後も体温が下がるスピードもゆっくりとなります。忙しく時間がない方や冬の時期などはおすすめですね。
自宅でミストサウナ
最近では自宅や賃貸物件で簡単にミストサウナに入ることができるようです。
例えば浴室乾燥機にミストサウナが付いているものがあります。
下記はミストサウナ付き浴室乾燥機の例です。
・ミスティ(東京ガス)
・ミストカワック(大阪ガス)
・天井埋込型浴室暖房乾燥機 ミストサウナ搭載(リンナイ)
また、シャワーヘッドに取り付けるタイプとしてナノフェミラスが発売されています。
他にも浴室に後付けできるタイプのものが多く発売されており、導入や使用にコストはかかるものの自宅でミストサウナは可能な時代です。
また中にはカビの発生を抑える機能が付いたミストサウナが存在し一石二鳥です。
研究概要
ここからは、研究の内容について考えていきます。
まず、冒頭でも述べましたが、朝にシャワー・ミストサウナ・入浴なしの3つ条件下で日中のパフォーマンスへの影響を調査しました。
過去の研究考察
入浴の状況や様式、方法や姿勢が身体機能へ影響を及ぼす報告は多数あります。
例えば、座位もしくは立位のシャワーが血圧上昇を起こすのに対し、浴槽に横になって入浴などをすると血圧が低下するとの報告があります。また浴槽に浸かる方が皮膚温度が高くなります。
そして、浴槽に浸かるもしくはミストサウナが全身の疲労回復に効果的だと結論付けられています。
研究モデル
被験者10名に対し同じ入浴方法と課題を実施してもらいました。
前日24時から睡眠、7時に起床し、7時10分から10分間入浴、その後、脳波や心電図を測りながら「ストループの色彩語葛藤課題」を行いました。
シャワー条件:浴槽の外に座った状態で40℃の温水を浴びる
ミストサウナ条件:40℃に設定された微細なミストを浴びる
入浴なし条件:26度に設定した浴室内に座る
ストループの色彩語葛藤課題
ストループ効果とは
ストループ効果は心理学者のジョン・ストループの名前を取ってつけられています。
まずは以下の図をご覧ください。
文字が書いてあるだけなに読みづらく不快感がありませんでしたか?
このように、文字を読む際に「目」に飛び込んでくる色情報が「文字」という情報に干渉し起こる現象のことをストループ効果といいます。
逆ストループ効果とは
先の、ストループ効果には逆バージョンが存在します。
例えば
という問題がでた時に②の方に時間がかかると、ジョン・ストループは実験で証明しました。
※正解は①が赤、②が青
これは「文字情報」の干渉を受け「色」を正しく認識することが難しくストループ効果と言われます。
では先の図で
という問題でも②の方が時間がかかります。
※正解は①あか、②あか
これは「色情報」の干渉を受け「文字」を正しく認識するのが難しくなっており逆ストループ効果といわれています。
本研究で行われた色彩語葛藤課題とは
モニターに「緑、黄、黒、赤、青、紫」の単語をランダムに表示をします。そして各単語は、その単語と異なる色で書かれており、マウスを利用し3秒以内に色に対応するボタンをクリックします。
3秒を過ぎるとアラームがなり、別の単語が表示されました。
結果
主にミストサウナが優れていた点は下記の通りとなりました。
・心拍数は入浴なしに比べ低くなった
・皮膚温度は時間がたってもシャワーの時より高かった
・課題の失敗率はシャワー、入浴なしより低かった
その日の朝にミストサウナに入ることで日中の作業効率が向上する可能性があると結論付けられました。
まとめ
興味深い研究で結果も良好といったところでしょうか。
ミストサウナに入った場合のエラー率低下は、日中のパフォーマンスを向上させるかもしれませんね。
朝サウナに行ってスッキリする方も多いと思いますが、私は逆で日中眠気がくるタイプです。なので個人的に朝サウナは日中のパフォーマンスが低下してしまいます。
ミストサウナならもしかしたらと思ってしまいますが、我が家の浴室にはミストサウナが付いていません・・・
もしお住まいにミストサウナの装備がある方は試してみるのはいかがでしょう?
仕事や学校で素晴らしい結果を得られるかもしれませんね。
ではまた。
引用元:PubMed
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