健康寿命という言葉があります。
健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」であり、平均は72~75歳とされています。
そんな健康寿命を延ばす上で重要なものの一つとして「筋肉」が挙げられます。そして筋肉量を増やす手段としてサウナが有効かも!とする論文があります。
筋トレや有酸素運動は苦手という方に朗報となるかもしれない論文を簡単に紹介したいと思います。
論文の概要
論文の仮説
この論文では、サウナ(熱ストレス)は筋肉量を増やす可能性を検証しています。
熱ストレスでヒートショックプロテインが活性化する報告は多数あり、ヒートショックプロテインは細胞を修復する働きを持ちます。
また、ラットに熱ストレスを与えるとタンパク質合成に関連するシグナル伝達が活性化される報告もあります。
サウナが筋肉量を増やす可能性は大いに期待できそうですね
サウナが体組成に与える影響
体組成とは、身体の成分組成のことで「水分・タンパク質・脂質・ミネラル」の4つの主要成分で組成されています。
身体はサウナなどの高温にさらされると、ストレスを感じ急性と慢性の反応が起こります。
急性の反応では、皮膚への血流が増加し熱を放出するための発汗が増加します。同時に心拍数増加、呼吸数が上昇します。
その後、慢性の反応が起こり徐々に心拍数の減少させ、発汗量を増加させますが発汗によるミネラル排泄は減少させます。
簡単ですが、これがサウナに入ったときに起こる現象です。
対象者
研究対象となったのは健康な男子大学生23名です。
この23名をサウナ群(12名)とサウナ無群(11名)に分け、サウナの影響を調査しました。
研究前の2週間はサプリメント、医薬品、市販薬、薬物、アルコールを摂取していないことを確認しています。また研究期間中は普段通りの生活を行っていました。
サウナの入り方
サウナ群(12名)はサウナを週3回とし、計12回行われました。
サウナはフィンランド式で温度は100℃、湿度は20~30%に設定されていました。10分間サウナに入り、その後5分休憩を5セット行い水風呂に入る記載はありませんでした。水分補給は自由だったそうです。
結果は
サウナ群(12名)とサウナ無群(11名)を比較し有意にサウナ郡に差が見られたのは
- 右足の筋肉量が増加
- 右足の骨密度が増加
- 左足の骨ミネラル含有量が増加
となりました。
また、両郡において脂肪に変化はなかったとされています。
本論文中にはサウナが筋肉と骨に好影響を与える可能性があると結論付けられました。
まとめ
なかなか面白い研究ではあると思いますが、結果は残念といった感じでしょうか。
この結果をもってサウナで筋肉量が増加するとは言えなさそうです。
右足では筋肉量が増加していましたが、利き足が右という方が多かったのではないでしょうか。対象者の利き足は調査してなかったようです。
ただ、脂肪に変化がなかったのは、「サウナは痩せない」を証明したと言えそうですね。瘦せるためにサウナに入るが間違っているのは多くの人が感じていることでしょう。
あと、マイナーな研究ではサンプル数が少なくなりがちですね。
筋肉量を増やすには筋トレ、サウナはリフレッシュ!
朗報とはなりませんでしたが、これからも気になる論文や研究を紹介していきたいと思います!
サウナの利用がすべての人にとって安全であるとは限りません。
健康状態や持病によってはリスクが伴う場合があります。
危険や不安を感じた方は医師に相談することをお勧めします。
Effects of Twelve Sessions of High-Temperature Sauna Baths on Body Composition in Healthy Young Men
PubMed
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