【第1話】駄目サラリーマン!?鈴木湯太郎登場

サウナの物語

出社して早々に上司から叱責を受ける。
「昨日の面談はどうだった?新規の処方はとれたのか!?」
鈴木湯太郎は、製薬会社で営業として働くごく普通のサラリーマンだった。

日々の仕事に追われ、忙しい毎日を送っていたが、唯一の楽しみは、週に一度行く行きつけのサウナだった。彼はこのサウナでの時間を、日常の喧騒や上司の叱責から解放される貴重なひとときとして大切にしていた。 その日も、一日の仕事を終え、疲れた身体を引きずるようにしてサウナへ向かった。

夜の街は静かで、街灯が淡い光を放っていた。サウナの入り口をくぐると、いつもの香りと蒸気が彼を迎え入れてくれた。受付のスタッフがにこやかに挨拶をしてくれると、鈴木も自然と笑顔になった。  鈴木はロッカールームでスーツを脱ぎ、浴室へと向かった。まずは身体や髪を洗い一日の汚れを落とす。その後、温かい湯に浸かり、心地よい湯気に包まれると、一日の疲れが徐々に溶けていくようだった。湯船から出て汗を拭き、いよいよサウナ室へと足を運ぶ。

サウナ室の扉を開けると、熱気が一気に押し寄せてきた。

鈴木
鈴木

今日も温度は90℃か

木製のベンチに座り、目を閉じると、鈴木は心の中で今日の出来事を振り返った。

新規の処方がなかなか取れず、上司からのプレッシャーも日に日に増していた。しかし、このサウナの中では、すべての悩みが一時的に忘れ去られる。あのムカつく上司の顔もサウナの中では靄がかかり思い出すことができない。

 サウナの中には常連客たちが集まっていた。
コロナ禍以降、黙浴が基本だが常連客同士は今日一日の話を交わしていた。ある人は仕事の成功談を語り、またある人は家族との楽しい時間について話していた。

石丸
石丸

鈴木さん、最近どうですか?仕事は順調ですか?

 常連客の一人、石丸さんが話しかけてきた。石丸さんは同じ製薬業界で働く仲間で、鈴木とはサウナで知り合った友人だった。

鈴木
鈴木

正直、あまりうまくいってないんだ。新規の処方が取れなくて、上司にも叱られてばかりさ。

石丸
石丸

そうか、それは大変だな。でも、ここでしっかりリフレッシュして、明日からまた頑張ろうぜ。

石丸さんの言葉に励まされ、鈴木は少し元気を取り戻した。サウナの熱気が身体に浸透し、汗が滲み出るとともに、心の重荷も少しずつ軽くなっていくようだった。

数分後、鈴木はサウナ室から出て、水風呂へと向かった。冷たい水が火照った身体を一気に冷やし、爽快感が全身を駆け巡る。水風呂から出ると、今度は休憩スペースへと向かい、リクライニングチェアに身を預けた。ここでのんびりと過ごす時間が、鈴木にとって最高のリラックスだった。 

鈴木
鈴木

ととのった〜

その夜、鈴木はサウナで出会った仲間たちと楽しい会話を交わし、笑顔を取り戻した。仕事の悩みやストレスも、彼らとの時間の中で少しずつ和らいでいった。そして、帰り際にはいつも以上に爽快な気分でサウナを後にした。

翌日、鈴木はいつもより早く目が覚めた。前夜のサウナの効果か、身体も心も軽く感じられた。出社すると、彼は新たな気持ちで仕事に取り組むことを決意した。

「おはようございます」

受付の水野さんと挨拶を交わす。毎朝、水野さんの笑顔に励まされるのが一日の始まりだ。営業フロアに足を運ぶが、上司は会議のため本社へ出向いていた。

その日は同僚と今後の作戦や昨日の面談内容の検証を行い、再度新規処方を獲得すべく面談へ向かった。そして仕事を終え、またいつもサウナに向かう。

自信とやる気を取り戻した鈴木は、再びサウナでのリフレッシュを心待ちにするのだった。 サウナは、ただのリラクゼーションの場ではなく、鈴木にとって新たなエネルギーを得るための大切な場所だった。

サウナでリフレッシュし、心も身体もスッキリとした鈴木は、今後も仕事に全力で取り組むことができると確信した。 彼にとって、サウナは単なる趣味ではなく、日常の喧騒から解放され、リフレッシュするための欠かせない場所だったのである。

翌日、出社すると、いの一番に上司に呼ばれた。

「新規処方はとれたのか?」

鈴木は力強く、こう答えた。

力強い鈴木
力強い鈴木

申し訳ございません

つづく・・・

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