サウナと健康の関連性を調査した論文は数多くあり、これまでも紹介してきました。
今回はアスリートと非アスリート(論文中では座りがちな人と記載)を比較し、サウナ後の遺伝子発現状況を調査したものを紹介します。
遺伝子と聞くと難しそうな雰囲気を醸し出しますが、簡単に説明しますので安心してください。
論文の概要と仮説
この研究はサウナによる熱ストレスが「炎症」や「細胞死」に関係する遺伝子発現の変化をアスリートと非アスリートで比較しました。
そして、アスリートの方が熱への耐性が強いため変化が大きいだろうと仮説を立てています。
アスリートの方がサウナによる効果が良いと遺伝子レベルで説明できるかも!
炎症や細胞死と聞くとサウナ怖いとなりそうですが、私たちの身体では絶えず細胞が生まれ変わりダメージ(炎症)を受け続けています。
ストレスも一種の炎症です。サウナがストレスに効果的だと示唆する論文も数多く存在します。
どのような遺伝子を調査するの?
対象者はサウナ前後に血液検査を行い遺伝子発現を調査しました。
検査した遺伝子は↓↓↓
これらの遺伝子発現状況を比較し、どのような差がみられるのか調査しました。
ヒートショックプロテイン(HSP)とは
細胞がストレス状態になると合成される特殊なタンパク質群です。
ヒートショックプロテインの主な機能は、損傷を受けたタンパク質を修復し、細胞の正常な機能を維持・回復させることです。
結果は?
まず、アスリートと非アスリートどちらの群でも体重と体脂肪率に変化がみられました。
ただその差は小さいもので両群間に有意差は認められず、運動していようがしてなかろうがサウナに入っても体重減少(増加)は一緒という結果に。
繰り返し伝えていますが、サウナは痩せません。
遺伝子発現では「インターロイキン10 (IL10)」のみが両群で差が認められました。
つまり、アスリートの方が熱への反応が早く、そして対応するのが早い可能性があると結論付けられました。
まとめ
正直なところ明確な差はほとんどなかった、と言えるのではないでしょうか。
アスリートの方がサウナに入って汗をかき始めるのが早い・・・とか?
「インターロイキン10 (IL10)」は抗炎症作用に関連するので、アスリートの方がストレスに強い可能性はあるかもしれませんね。
今回の論文では明確な差はありませんでしたが、運動は健康増進に寄与する報告は多数あり、サウナも運動も適切に行うことは重要であると考えます。
これからもサウナや運動で良い汗かいていきましょう。
サウナの利用がすべての人にとって安全であるとは限りません。
健康状態や持病によってはリスクが伴う場合があります。
危険や不安を感じた方は医師に相談することをお勧めします。
Association of High Cardiovascular Fitness and the Rate of Adaptation to Heat Stress
PubMed
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